バレンタインデーだから恋の唄考察・・ってわけでもない
2010年 02月 14日
今もまだほとんど知らないんですが、伊坂幸太郎がファンであることをそこここで公言していて、伊坂映画にはほぼもれなく斉藤和義の曲がついてくるので、まんまと洗脳されたのか、ちょっと聴いてみたくなりました。
で、2007年に出た「I ♥ ME」を入手。

フォークシンガーですね、この人。
メロディラインはシンプルだし、歌詞にも小難しい言葉は一切出てきません。
それはもう、臆面がなさ過ぎるほど、まんまな感じ。
アルバム1枚だけでわかったようなことを書くのはどうかと思いますが、これこそが斉藤和義なんだろうと思わせる、直球ど真ん中素材感勝負のアルバムです。
これが、1970年代だったり、リアルタイムでも若いヤツのものだったり、はたまたたとえオッサンでもファーストアルバムなら、さほど引っかからず「ふ~ん」だったのかもしれませんが、アルバム発売時、すでに芸歴十数年のキャリアを誇るアラフォー男子(!)の作品集とあらば、二度見・・ならぬ、二度聴き三度聴きしたくなる引っかかり具合、でした。
とはいえ、キマジメな感じでも全くありません。
随所に遊び心というか、マジメさに照れてる、みたいな感じが垣間見えます。
気に入ったのは、疾走感がナイスな1曲目の「I Love Me」と9曲目のバラード「トレモロ」。
特にトレモロは、男女の別れの曲としては秀逸だと思います。
これも詞はすごく平凡です。
でも
例えば暗がりでも
君のことは見えていた
自信は無いけれど
本当のことなんだぜ
を3回繰り返し(微妙に言葉は変わっていますが)、それで最後まで行くと思いきや、4回目は同じメロディで
これから会えなくても
君だけは感じてる
自信があるんだよ
もうクセだから
でエンディング。
この「もうクセだから」が効いてますグッときます。
これが、同じアラフォーで頭モジャモジャ男子が未練たっぷりに終わった恋を振り返る曲でも、福山雅治の「はつ恋」になると
ずっと探してたこれが愛ならば
愛の謎はもう解き明かしている
叶わぬけれどかけがえのない想いを
ひとり抱きしめて生きるよ
になるわけですね。
ああ、恥ずかしい。
ひとりうっとり臭で窒息しそうだ。
私ならゼッタイ!福山雅治より斉藤和義に想われていたいですね・・はい、勝手に言ってろですね。
かと思えば、斉藤和義さんは、現在進行形の浮かれた恋の歌も「ああ、半年」というタイトルになります。
うまくいっているならいっているで、恋愛は不安だったりしますが、そのあたりの心理が絶妙なタイトルと歌詞です。
ぼくらに落ちた隕石はラメ入り
とか
生まれる前から 知ってる気がするけど
と言ったかと思えば、突如
高井戸の煙突がモクモクと煙を吐き出して
虎ノ門上空でまた雨を降らす気だよ
などと歌ったりする。
これがなにかの暗喩なのかはわかりませんが、こういうのを入れる感覚、けっこう好きですね。
自分は、出逢いにしろ別れにしろ、色恋沙汰の歌には戸惑いや不安、自分だけが感じるであろう唯一無二のエッセンス、そしてなにより羞恥心を感じさせて欲しいみたいです。
だって、恋愛って個人的で恥ずかしいもんじゃないですか。
そうそう、月並みな言葉の羅列で自分の世界にどっぷり浸られてもねえ。
だから、福山雅治や平井堅のバラードはダメなんだな、私。
by kuni19530806 | 2010-02-14 22:55 | 音楽