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ランチのアッコちゃん   

柚木麻子『ランチのアッコちゃん』を読む。

失恋した若い派遣OLが、ひょんなことから1週間、自分の手製のお弁当と、40代で独身で仕事が出来て大柄なアッコ女史こと黒川部長の外ランチを交換することになって・・という表題作+3編の連作ありの中編集です。

どれもポジティブで、わかりやすい展開で、疲れた心身に効きそう・・・とか月並みなことを書きましたが、どうだろうか。
効くのか、これ。
美味しそうな料理がいろいろ出てくるし、前向きな気分になることはなるけれど、持続性はないみたい。
持続させるのは自分の力で、とか言われんのかな(誰に?世間にか?)。

すごく身も蓋もないことを書きますが、柚木麻子さんには「私にはこれしか書けない」という切迫感がないですね。
唯一無二な感じがない、と言い換えてもいいけれど。

面白くないわけじゃないんだけど、それなりに読ませるんだけどなあ。

同じ通俗小説でも、山本幸久さんや平安寿子さんとは違う。
登場人物の気持ちや行動が変わっていく過程が安直に映るからかもしれない。
たとえ短編でも、いちばん濃く描きたいのがその場面じゃないにしても、そういう、端折った感は、人間を甘く見ているというか、ちょっと不遜に思える。

でも、読後、お腹は空きました。
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by kuni19530806 | 2014-07-13 23:26 | 読書

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