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私の参院選   

高校時代、隣のクラスだったSさん(女性)が西日本から参院選に出馬している。
まだ当落はわからない。
長らく市議会議員をやっているとは聞いていたが、このたび国政に打って出たようだ。

Sさん(現在はKさんだけど)は、本当に特別な人だった。
実家は山深い場所で、高校の近くに下宿していた。
それだけならわが母校には珍しくなかったのだが、家庭の事情で、自力でアルバイトを掛け持ちしながら高校に通っていることで有名だった。
授業中はしょっちゅう寝ていることでも有名だった。
でも学校の成績は男女合わせてもいつもほぼトップ。
絵に描いたようなスーパーウーマン。
なのに、鋭利な面をほとんど見せない、柔らかい、どちらかというとほわっとした印象の人だった。

・・・と書くと、完璧過ぎてむしろ好感が持てない感じだが、彼女は男女共に人気があって、Sさんの屋根裏部屋みたいな下宿はみんなのたまり場になっていた。
同じクラスにならなかった私も、共通の友人に連れられて遊びに行ったことがある。
Sさんは、会話すらあまり交わしたことのない私が行っても自然に場所を作ってくれた。

彼女は高校卒業後、西日本の公立の看護短大に進んで看護師になり、その後、政治家になった。
きっと、優秀で話がわかる、人に気をつかわせないナース、議員だったのだろうな。

高校を卒業して30年以上の時が経ち、当時の同級生はそれぞれの道を進み、華やかだったりしょぼかったりうまくやったりしくじったり、泣いたり笑ったり怒ったり悩んだり呆然としたりしながら、今この瞬間を暮らしているのだ。
もうこの世にいない人も何人もいる。
人生のバリバリ後半で、孫がいたり、管理職だったり、介護に明け暮れたり、自身も闘病生活を送っている人もいるだろう。
きっと、同じような境遇の人はふたりといない。
一見「同じよう」でも、間違いなく違う。
50年という月日はそういうものだと思う。

Sさんが当選するにせよしないにせよ、明日からの私の生活は変わらないし、私に明日、降って湧いたようななにかが起こっても、かつての同級生は誰も影響を受けないどころか、気づきもしない。
ひしめき合うように教室に押し込められ、互いの一挙手一投足を気にしつつ過ごしていたあの10代の一時期は本当に夢のようだ。
でも夢じゃない。

現在のSさんの情報を追っていたら、高校時代の彼女の写真がヒットして虚をつかれた。
靴屋でバイトしている彼女。
頬っぺたが赤く、笑っている。
この、少なくても半径3キロ圏内には私もいた。
彼女がこの写真を撮った瞬間、私は何をしていのかはもちろんわからないが、努力もせず、現実に不満を抱き、でも将来、文章にかかわる人になりたいと思っていた、さだまさし好きの高校生をやっていたことは間違いない。

今日、選挙に行って、一瞬、Sさんを身近に感じた。
脳内距離は自由だ。
Sさんが頑張るなら私も頑張る、と思ったりもした。
過去の想い出は夢じゃないんだから。

by kuni19530806 | 2013-07-21 21:51 | その他

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