湿地   

アーナルデュル・インドリダソン『湿地』(東京創元社)を読む。

アイスランド人によって書かれたアイスランドが舞台のミステリー。
アイスランドの土地柄というか国民性というかが色濃く醸し出された小説、のような印象を受けるけれど、そもそもアイスランドに対する知識といえば、首都がレイキャヴィク、メルカトル図法に騙されてきたけれど意外と小さな島、そしてビョーク、ぐらいしかなく、下手すりゃ、エンヤってアイスランド?ぐらいのことを言いかねない自分なので、この小説で知り得た付け焼刃感丸出しのアイスランドをもってして、「アイスランドという異郷が舞台だからこそのミステリー」と言ってしまっていいものか、ちょっと疑問。
ただ、つい「ああ、アイスランドゆえね」と知ったかぶってしまいたくなる強い磁場みたいなものは小説の随所に漂っていて、それが独特の風味というか、このミステリーの個性になっていることは間違いないと思う。

伏線が張りめぐらされているとか、どんでん返しが待っているというタイプのミステリーではない。
どちらかというと単調。
とにかくやるせなく、暗く、重い。
真相にも、それを追う警察官の姿にも、ついでに気候風土まで、希望の光がほとんど感じられない。
じゃあ、陰気なだけのつまらない小説だったか、というとそうではなく、中上健次的というか、森村誠一の『人間の証明』的というか、力のある小説だとは思った。
好き、とは言い難いけれど。

この小説を読みつつ、一方で小林まことの『1.2の三四郎』も読んでいたのは、自分で無意識にバランスをとろうとしてたのだろうか。
そんなこともないか。
a0099446_2233488.jpg

[PR]

by kuni19530806 | 2012-11-16 22:03 | 読書

<< 本にだって雄と雌があります サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3 >>