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猫   

職場の荷受場(形状は倉庫)に猫が入り込んだ。
毛はぼっさぼさで、痩せてて、見るからに年老いて具合悪そうで、目なんてほとんど開いてなくて、10歩歩くと疲れて立ち止まってしまうような、くたくたな猫。

最初は職場の裏口のドアの前にいたのだが、荷受場の開いたシャッターから中に入ってきた。
猫は中をゆっくり巡回し、私達が差し出す水やウエハース的なお菓子のかけらには目をくれず(水なんて容器をまたいだ。久々に目の当たりにする猫またぎだった)、同僚の方々が作った即席簡易休憩寝床にも立ち寄らず、私達の「なに?なにがしたいの?」の質問にも物言いたげなのに何も言わず、しばらくすると出て行った。
その後、職場の正面玄関の方に回り中に入ろうとしたようだが、さすがにそれはさせられず、阻止されたらそのまま立ち去った、らしい。

明らかに人慣れした猫。
でも私の予想ではノラで、昔、飼われてた過去あり。
どういう状況であのくたくたになったのかは定かではないが、今回のうろうろの理由は察せられる。
死に場所を探していたのだ。
途中から気づいて、同僚のみんなもたぶん気づいて、でも猫好きな面々はそのままが忍びなくて心配してしばらく様子を追っていたけれど、私は気づいた後は「そっとしとこ」と思った。

猫は飼ったことがないが、今まで迷い猫3匹のめんどうを見たことがある。
3匹ともものすごく人懐こくて、そのうちの1匹のシャム猫は特に、毎朝私がベランダの扉を開けるのを待ち構えて家の中に入ってくるようなヤツだった。
気がつくと家人誰かの隣に寄り添い、数年間ほとんど飼い猫状態で、でもそんな気質だから近所の家の心も軒並み鷲づかみして、それぞれの家からミミとかラブとか呼ばれてた。
うちは「トラキチ」と呼んでた。
命名者は私ですけどなにか?
しかも♀ですけどなにか?
町内会でこぞって可愛がっていた感じだったが、宿泊先は我が家のベランダに置いた古い戸棚の中、と決まっていた。
2~3年は居ただろうか。

トラキチも、その後に迷い込んできたトラキチ2号も、具合が悪くなるとひっそり家を出て行った。
トラキチは本当に具合が悪そうなまま居なくなったのでずいぶん探したが、見つからなかった。
しばらくして、ご近所から「ミミ(だかラブ)らしき猫が川原で死んでいて、保健所が持って行った」と聞かされた。
悲しかったけれど、あっぱれ!と思った。

もう20年近く前になるそのことを今日ありありと思い出した。
今日のくたくた猫も、足さばきはおぼつかないし、トラキチのような目やにと目ダレ(?)満載の目周りだったが、やけに威厳があった。
人との距離も、媚びるというより同等な感じ?
くたくたなのに、すくっとした立ち姿に映った。
死を覚悟した動物は崇高に見えるのかもしれない。
もちろん、人間も動物です。

くたくた猫が無事でありますように、と私は願わない。
ちゃんと落ち着く死に場所が見つけられますように、と願います。

・・なあんて、ここまで書いたのにくたくた猫はまだまだ健在だったりして。
そしたら自分の勘違いに感謝しよう。

by kuni19530806 | 2011-10-14 23:52 | その他

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