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小島慶子キラ☆キラ   

『小島慶子キラ☆キラ』を読む。

ラジオの番組本です。
ラジオの本を自腹で購入したのは遙か昔、十代の頃に買ったあの谷村新司の『天才秀才バカ』以来かも。
自分だけで楽しむのがもったいなくて学校に持って行ったっけ・・・。

キラ☆キラは『天才・・』とは種類が違います。
ネタ本ではありません。
番組誕生の経緯や、類い希なる“ラジオパーソナリティ小島慶子”の番組への思い、各曜日のパートナーやプロデューサーへのインタビューがぎっしり!本当に比喩ではなく「ぎっしり」詰まっています。

目次は以下。
はじめに
◆小島慶子、『キラ☆キラ』を語る
◆『キラ☆キラ』読むトーク:小島慶子×各曜日パートナー
◆各曜日パートナーへのインタビュー:ビビる大木・神足裕司・宇多丸・ピエール瀧・水道橋博士
◆『キラ☆キラ』生放送五日間密着レポート!
◆「キラ☆キラ」スタッフに聞く!
 1 初代プロデューサー 村沢青子
 2 二代目プロデューサー 三条毅史
 3 初代チーフ・ディレクター/三代目プロデューサー 石垣富士男
 4 二代目チーフ・ディレクター 長谷川裕
◆TALK RADIO SESSION:小島慶子×ピストン西沢
◆『キラ☆キラ』オンエアリスト
◆「震災とラジオ」~あとがきにかえて 小島慶子


いや~、読み応えがあります。
そして、とっても面白かった。

あまりに読みどころが満載過ぎて、どこをどう書いたらいいかわかりませんが、これを読んで気づいたこと。
自分はずっと、小島慶子さんという人を「なんてアタマのいい人なんだ!」と思ってましたが、それにも増して「とんでもなく真面目な人」なんですね。
そして、番組・・というか人生の主旨が一貫してブレない。

私は「ブレない」ことが必ずしも素晴らしいとは思っていません。
この日記でもたまに書いちゃってますが、「ブレない」ことと「思考停止」は似て蝶だったりもするから。
自分の社会的思想的ポジション、またはキャラクターを設定して、その場所を死守するという基準で行動や言動を決めると、ある意味、すごくラクです。
はためには「なんてブレない人なんだ~」と映り、「信用できる」という評価を得ることも可能。
周囲も接しやすい。
リアクションや発言を予測できるから。
そのわかりやすさが、ますます評価を高めることにもなる。

でも、社会は変わるし気持ちも自分の立ち位置も日々刻々と揺れ動く。
もともとの性格や気質に不変なものはあるかもしれないけれど、「自分はこう」「かくあるべき」ってそんなに重要かな、という思いがあります。
一度決めたことを覆さないことももちろん大切ですけど、そこには根性とエネルギーだけじゃなく、場合によっては思考を止める作業も必要なのじゃないかと思うのです。
運転席から離れ、現実を見ず自動運転に任せるにも似た。
だとしたら、費やしてる根性やエネルギーはなんなの?みたいな。

なので、ブレないこと=素晴らしい、とは必ずしも思わない。

小島慶子さんがスゴイと思うのは、一瞬たりとも思考を止めずに、ブレないことに対するリスクも引き受け、それでもブレないから、です。
これはもう、ハンパな真面目さじゃないと思う。

かっこいい。
かといって友達になりたいとは思わないけれど。
信用できる。
とはいえ悩み相談をしたいとは思わないけれど。
キラ☆キラ、これからも聴きます。
んなこと言いつつポッドキャストばっかだけれど。

キラ☆キラを始めるにあたっての思いを小島さんはこんな風に語っています。
少し長いですが。
<政治とか社会問題などの大きな枠組みの中でどうあるべきかを考えたり、すごくドラマティックな誰かの人生にフォーカスを当てて“人間って素晴らしい”という話をする番組もあるけれども、そうじゃなくて、日々暮らしていく中でたぶんみんなどこかで“人生って素晴らしい”とか、“愛ってこうじゃないか”とか、“絶望ってこうじゃないか”って思いをしてるんだけど、たぶんそれは人から見ると他愛のないことだったり、物語にはならないことだったり、絵にならないようなことで、“何だそんなことぐらいで。安っぽい愛だな”とか、“そんな悲しみ、ちっぽけだ”と人から言われるかもしれないけれど、その人にとってはそれがその人の発見した愛であり、苦しみなのであるから、そこに価値付けをすることに全く意味はない。そういうものひとつひとつの中に、誰もが共感できるような普遍的な生きてることの素晴らしさやままならなさとかを、みんな発見しているんだと思う。だから私はそういう日常のエピソードというか、非常に個人的な他愛のない物語も大きい物語と同じように価値があると思っている>

この発言はキラ☆キラの揺るぎないメインテーマになっています。

そして本のラストの◆「震災とラジオ」~あとがきにかえて は、引用困難なほど、小島さんの思いがほとばしっています。
彼女やキラ☆キラが好きかどうか、極端な話、このあとがきの内容に賛同するか否かを取っ払っても一読の価値有りだと思います。
究極の「真面目道」「一本気道」だから。

小島慶子キラ☆キラ_a0099446_9441226.jpg

by kuni19530806 | 2011-06-12 23:42 | 読書

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