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私は福島が好きなのかもしれない   

私は福島県福島市で生まれました。
父親が福島県内をまんべんなく網羅する(?)銀行に勤めていたので、その後、県内を転々としました。
富岡町から原町市(現在は南相馬市)に引っ越し、そこで幼稚園に入り、梁川町(現在は伊達市)で小学校に入学しました。
その後、また福島市に戻り中学卒業まで過ごし、両親の離婚後の高校時代は喜多方市で暮らしました。
要するに、そもそも生粋の福島人なのです。
でも、もう福島より東京での生活の方がずっと長くなりました。
10年前に母親が亡くなってからは、実家がなくなったせいもあり、福島に行くことは激減し、今では、兄のお墓参りでたまに日帰りで福島市に行く程度になりました。

が、今回の震災と原発の事故で、私は自分が思っていた以上に、生まれてから18才まで住んで福島にこだわりがあることを思い知らされています。

それを「郷土愛」などとベタな言い方をしてしまうとなんだかアレなのですが、とにかく、私はこの20日間の福島が悲しくてしょうがありません。

自分が今そこで暮らしていないから、県内の人とは不安度が全く違うから、センチメンタルなノスタルジー・・・ある意味、お気楽な感情で故郷を憂うのだ、と言われれば確かにそうかもしれません。
今、福島にいる人達は目の前の現実と向き合っているわけで、私の感じる種類の悲しさなど、傍観者の感傷、もしくは地震、津波、原発に対する言いようのない不安のすり替えなのかもしれない。

でも自分のこの3週間の福島に対する気持ちの中には明らかに、被災者への追悼やお見舞い、原発に対する不安、知人や親戚に対する心配、とは違う種類のものがあります。

それは、ウエットであること、不穏当なことを承知で書くと、私を産み育ててくれた、いつの日も揺るぎなく田舎くさく垢抜けなかった故郷が陵辱され逃げまどう姿をただただ見せられているみたいというか、自分の心の中(だけ)では清らかで無菌だったものにタチの悪い病原菌が見つかったのになすすべがないような・・・胸の痛み、たまらなさ、悲しさです。

こんな非常時だから故郷を美化している、自分に酔っている、のかもしれません。
が、私は、自分が思っていた以上に福島が好きなのかもしれない。
ですから、スパリゾートハワイアンズの奇跡
という記事には心から誇らしさを覚えたし、今朝の首都圏ニュースにも思わず涙が出そうになりました。

それは、都内にある福島のアンテナショップのニュースでした。
このアンテナショップは実は私が1年前まで勤務していた図書館のすぐ近くの大型スーパーの中にあります。
小さいスペースですが、その中に福島の名産品、野菜果物が所狭しと並べられ、いつ行ってもお客さんがいないことがないくらい繁盛していました。
が、このたびの件で、私は「きっとお店は閉まっているだろうな。やっていても誰も買ってくれないのでは」とひそかに案じていました。

でも、それは危惧だったようです。
なんと、現在は通常の3割増しの売り上げなんだとか。
インタビューされた主婦が「福島の野菜は美味しいから買います。きちんと検査が通ったものを売っているそうだし、私は風評よりお店を信じます」
「ここで買うことで福島を応援したい」という声も。
なんだかものすごくうれしかった。
それが、今の自分の居住区のことだからなおさら。

やるじゃん、東京。
これで都知事の再選が阻止できれば、私は東京がもっと好きになると思います。
例年、花見は特にやらないけれど、今年はやってやる!
オメーなんかに指図される覚えはないのだ!
福島の友達も親戚も、短くてもいいから花見をしてくれることを願いながら、する。

今は満身創痍でも、今後も予断を許さない状況が続いたとしでも、たとえ被災前と形が変わっても、福島が復活することを信じています。

by kuni19530806 | 2011-03-31 23:51 | その他

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