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SOSの猿   

伊坂幸太郎『SOSの猿』を読む。

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読み終わってしまえば、さすが伊坂幸太郎なのですが、中盤までは乗れなかった。
途中で何度か投げ出しそうになりました。

二つの話が並行して進みます。

イタリアでエクソシスト(悪魔祓い)の経験を持つ、家電量販店のエアコン売り場担当の遠藤二郎(30代なかば)は、昔近所に住んでいた一回り年上の「辺見のお姉さん」に頼まれて、彼女のひきこもりの息子に会うことになります。

もう1個は、社員の入力ミスの誤発注で莫大な損害を被った証券会社から、ミスの原因解明の仕事を命じられるシステム会社の五十嵐真40才がメインの話。

この、一見なんの関連性もなさそうな話が、徐々に<孫悟空>をキーワードに摩訶不思議な様相を呈し、交錯していきます。

はっきり言って、途中まではなにがなんだかわかりません。
伊坂さん、タガが外れちゃった?!と思わないでもありませんでした。
そのわりには、終わってみればけっこう爽やかな読後感です。
でも、それでもやっぱり、伊坂幸太郎の小説の中では、私には好みじゃない部類ですね、これ。

ただ、この小説を書いたのはいいヤツだって感じがすごくする。
宮部みゆきさんとは違った意味でですが。
でも「いいヤツ」なんて、作家に対しては誉め言葉じゃないですね、きっと。

by kuni19530806 | 2010-08-15 22:07 | 読書

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