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のはなし   

伊集院光『のはなし』を読む。

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携帯のメルマガ用に書かれたエッセイとのこと。
読者から7文字以内のお題をもらって、それについて400字以上というシバリだけの文章を週3回書く、というのを5年間やったそうな。
単純計算でも超700回。
修行?
そのなかの選りすぐりの80編が収録されています。
しょっぱな「あ」が「あそこが痒い」っていうのがもう(笑)。

伊集院光ってよくわからない。
でも、勝手な親近感もある。
親近感のおおきな理由は、昔、30代前半に3年半いた会社に、伊集院光の高校時代の同級生という女子がいたから。
特に親しくはなかったけれど、私、そのタナカチハルさんのファンだったのだ。
年下だけど、キレイで感じが良くてとにかく清潔感があって、なによりこっちの話を聞いてくれるときのリアクションがわざとらしくなく興味深げで「男だったらゼッタイ惚れる!」と思ってました。
そのタナカチハルさんから、伊集院光の本名はタナカケンで、高校時代も大きくて目立ってて、隣の席だったりしたけどやはりタダモノではない感じで、でも卒業しないで辞めちゃったんです、と聞いていたもんで、なんだか伊集院を見かけるたびにチハルさんを思い出す轍が出来ちゃいました。
彼女とは自分の退職後も数年、年賀状のやりとりをしてたけど、いつのまにかそれもなくなり、はや何年になるだろう。
元気かなあ。

それにしても、伊集院光ってよくわからない(しつこい)。
繊細なのか図太いのか、善人なのかワルなのか、キャパが広いのか狭いのか、天然なのか周到なのか、人情派なのかシニカルなのか、凡人なのか天才系なのか、どれもこれも、よくわからん。
伊集院ってどうなの?という気持ちで読み始めた本ですが、読後はますます煙幕感。
もちろん、誰しも、相対する矛盾要素双方を抱え持っている、ことは言わずもがなですが、伊集院の場合、特にその振幅が大きい印象もないわりに、「このあたりの感じ」というデフォルトが見つけにくい気がする。
聴いた人の多くが「天職」と評価するラジオの伊集院を知れば、そんな「わからない」印象は払拭されるんだろうか・・と思って、ポッドキャストで「伊集院光の馬鹿力」というラジオをちょこっと聴いてみましたが、ほぼ下ネタでした。

このエッセイの内容も、私には面白いのかさほどでもないのか、よくわからなかった。
いや、面白いのは確かなのですが、なんていうか、微妙に自分が伊集院に期待した方向ではなかったというか。
じゃあどういう方向?と問われると、それはそれでわからないんですけどね。

本の中で、意外とプライベート情報をふんだんに開示してくれています。
本名や出身中高はもちろん、親の職業(会社名まで。ライオンだそうです)、婿養子になった自分の本名(ま、ウイキペディアで一目瞭然でしょうが)、恥ずかしい過去あれこれ。
「高校時代、隣の席のタナカチハルちゃんが好きだった」とかいう描写があってもなんのフシギはないな、とちょっと期待を持って読み進めたりしました。
残念ながらそういう表記はなし。

印象的なのは「ニート」の章。
ここは繊細な純文学みたいです。

ホント、読んだらますます伊集院光のイメージがあいまいになったなあ。
でもそれは負のスライドではなくて、むしろ「好感」に近かったりします。
そもそも、けっこう好きなんだよね、伊集院。

それにつけても、もらったお題のエッセイを週3で5年、700回強かあ。
ちょっと面白そう。
自分に課してみるか(みないけど)。

by kuni19530806 | 2010-03-10 22:54 | 読書

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