2014年 01月 10日 ( 1 )   

櫛挽道守   

木内昇『櫛挽道守』(くしひきちもり)を読む。

舞台は幕末。
主人公は木内さんの小説にはめずらしく女性で、信州は木曽の櫛挽職人名人の娘、登瀬。
父親の仕事に魅せられ、自分もその技を受け継ごうと精進するも、女性ということ、弟の死、妹喜和の一方的な確執、なにより時代や土地柄、などなどに阻まれたり翻弄されたりします。
それでも、まるで遮眼帯を装着したように、櫛を挽くことに邁進するヒロイン。
それだけに、良くも悪くも凡人である妹と母のヒロインに対する複雑な気持ちもわかる仕組みです。


相変わらず、主人公が女性でも木内さんの世界は骨太です。
そして相変わらず、登場人物ひとりひとりの存在感がハンパじゃありません。

特に、父親が素晴らしかった。
ページが進む程にその素晴らしさが際立ってくる展開。
それにリンクするようにありありと立ち上がってくる亡き弟。
構成も絶妙だと思いました。


彼女の小説を読むと、それがどんなに暗い話でも清廉な気持ちになります。
でもそこに若干の玉砕感が混じります。
今回もそうでした。

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by kuni19530806 | 2014-01-10 22:25 | 読書