2010年 10月 19日 ( 1 )   

伊達さんの試合をTVで見て衝撃を受ける   

いやあ、本当に凄い試合を見ました。
TVですけど。

先日終わったHP JAPAN WOMEN'S OPEN TENNISのファイナル、セミファイナルを、今日と明日のCSのgaoraで放送します。
今夜は準決勝でした。
第2試合は、クルム伊達公子VSシャハール・ペアー。
これがですね、きっとこれからも何度も言っちゃうと思いますど、本当に凄い試合だったのです。
もしかしたら、私が今までTVで見た全てのテニスの試合の中でイチバン凄かったかも。

イスラエルのペアー選手は、今、上り調子の23才で、現在の世界ランキングは13位。
かたや伊達さんは現在、50位ぐらい。

伊達さんは前日の準々決勝で、ランキング8位のサマンサ・ストザーをフルセットのタイブレーク(テニスの1セットは6ゲーム先取ですが、6-6になった場合、次のゲームは従来の4ポイント先取ではなく、7ポイント先取方式をとり、これをタイブレークと言います)で破りました。
これも聞きしに勝る凄い試合だったらしい。
でも残念ながらこのクオーターファイナルの放送はなく、ペアーとのセミファイナルからの放送となりました。

準決勝、立ち上がりの伊達さんは決して調子が良くなくて、誰もが「昨日の死闘の疲れが残ってる」と感じるような出だしでした。
涼しげに走り回るペアーと違って、伊達さんは汗はしたたり落ちるし、表情も暗い。
ま、伊達さんはいつもそんな感じなんですけどね。

とにかく、ペアーはすこぶる調子良く見えました。
フットワークが凄くて、伊達さんがどんなに厳しい場所にボールを返しても追いつく。
そして、お返しのようにもっと厳しいボールを打ってくる。
伊達さんも善戦していたものの、あまりにペアーに穴がなく、じわじわ点差が開く序盤の展開でした。

が、突然、伊達さんのスイッチが入った。
まさに点灯!という感じで、まるで眠れる獅子が起きるように(手垢にまみれた比喩でスミマセン)、急に伊達さんの動きがシャープになりました。
これ、私は「観客と審判」のおかげかと思いました。

試合中の伊達さんは正直言って怖いです。
完全に試合に集中することを最優先にしているせいでしょうが、サーブ時に不用意に声を出したり視界の中で動く客に対しては、邪魔するなとばかりにおもいっきり睨みつける。
自分に不利なジャッジをした審判にも噛みつく。
意にそぐわないとボールを足で蹴飛ばすこともたびたび。

それは見ていて決して美しいものではないし、「怖え~」と思いますが、今回はそれをきっかけに、アドレナリンが大量に分泌したように思います。
一気に動きが良くなりました。
とはいえ、1セット目は間に合わず、ペアーが先取。

そして第2セット。
伊達さんの立ち上がりはまたちょっと低空飛行で、おまけに、過酷な連戦のせいか膝が痛み出したらしく、膝を押しながら顔をしかめるシーンも出てきて、ペアーにリードを許します。
そしてついにメディカルタイムアウト(ケガなどの治療のための時間の要求)をとります。
この時点で、もしかしたらこのまま棄権かも、棄権しなくてもこの状況ではもう勝ち目はないだろう、という気配が漂いました。
そしてアイシングをして、痛み止めらしき薬を飲み、試合再開。

ここからが凄かった。
まるでリセットされたかのような伊達さんの動きが良くなり、怒濤の快進撃が始まります。
なにが凄いって、ペアーも明らかに調子がいいのに、というところ。
しかも彼女はメンタルも強い選手らしく、伊達さんに対して冷静に、もっとも有効な形で攻め続けている。
なのに、伊達さんがそれを上回る動きをする、そこに圧倒されました。

ホント、物凄いラリーの応酬だったんですよ。
実況アナウンサーも解説者(森上さん)も「凄いです!」としか言えなくなってしまいました。
早いラリーでもどっちにもミスがなく、決め球はどれもラインぎりぎりで、お互い退かない。
そこを伊達さんが凌ぎ続け、じわじわゲームを連取し、タイブレークもものにし、第2セットを取り返しました。

いやもう、見ているこっちも疲労困憊な試合でした。
私など、結果がわかって見ているくせに、緊張感が尋常じゃなく、この時点で既にくたびれてました。

その緊張感は第3セットも続き、一進一退の攻防。
どちらも崩れないし諦めない。

・・・なんなんでしょうかね、この精神力は。
いろいろ穿った見方をした挙げ句、要するに「究極の負けず嫌い」でしかないのかも、に落ち着いたりもしますが、3時間の試合の、2時間59分までどちらが勝利してもおかしくない試合を、一瞬たりとも諦めずにするパワーっていったい!?
畏怖の念すら覚えました。

伊達さんは決勝で敗れるわけですが、今日のTVを見て、私はショックでした。
それは、自分の毎日のふがいなさを反省して云々、とかいうわかりやすい方向からのショックとはちょっと違って(それもありますけどね)、自分が日頃、自分自身や周囲に抱く「限界」や「常識」や「理想形」や「落としどころ」や「達成感」や「円滑さ」といった、とにかくモロモロの認識が、幻想で砂上の楼閣でおままごとだったと知らされたみたいな、おおげさですけど、そういうショックでした。

半世紀も生きた人間にあらためてそんな根本的な命題(?)を突きつける試合をする伊達さんは、やはりとんでもない人です。
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by kuni19530806 | 2010-10-19 23:54 | スポーツ | Trackback | Comments(0)