2010年 10月 02日 ( 1 )   

原宿百景   

小泉今日子、『原宿百景』を読む。

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私は小泉今日子さんの書く文章が本当に好きみたいです(笑)。
きっかけは『パンダのanan』(たぶん処女エッセイ)でしたが、以来、彼女の文章は、読売新聞の書評も、IN REDの「小泉今日子実行委員会」(これは書籍化され、最近単行本でも読みました)も、SWTICHの私小説風エッセイも、気がつく限りは読んでいます。

この『原宿百景』は、そのSWTICHの連載の書籍化です。
著者が原宿に住んでいた10代の頃を綴ったエッセイ11編と、原宿をキーワードにした対談17編、そして著者本人と原宿の写真、地図、原宿・小泉年表が収録(集録?)されている、欲張りな本です。

これはなかなか素晴らしい本だと思いました。
特にエッセイ。
十代の自分と自分を取り巻いていた日々をとても赤裸々に語っています。
とはいっても、元アイドルが、デビュー前~アイドル全盛期の自分のヤンチャぶりをあけすけに“自己暴露”する、というのとは似て非なる感じ。

この本で語られている十代の彼女の言動や環境はけっこう衝撃だったりしますが、どれもきちんといったん自分の中で咀嚼されているからなのか、視線は静謐で、主観と客観のバランスが絶妙です。
それは、写真を撮られる被写体としての彼女、にも通じている気がします。

この本の彼女を見て、「キョンキョンも老けたな」という感想を持つ人は老若男女を問わず、多いかもしれない。
ライティングの工夫ができなさそうな屋外撮影写真が多いし、過剰な修正、加工もされてなさそう。
特に表紙の写真は、まるであえて若くなく写っている写真を選んだ感じさえします。
そこにも、自分を客観視、必要に応じては「自分は40代だ」を強調し過ぎる(?)主観視、が感じられます。

以前、なにかのインタビューで彼女は、芸能人のわりにお肌の手入れが無頓着で、それを人に指摘されても何もしなかったと言い、その理由として、「ちゃんと年相応に老けていけばいいじゃんと思ってた。それに、タバコを喫っている自分がお金をかけてお肌の手入れをするのってなんだかおかしな話だと思えて、エステとかに行けなかった」と告白(?)してました。
それを読んだとき、この人はかっこいいな、と思いました。
なにも、正直だから、潔いから、かっこいいわけではありません。
いや、確かに正直さ、潔さはかっこよさに繋がるかもしれませんが、底辺に「まっとうな価値観や羞恥心」あってこその正直さや潔さ、じゃなきゃ、それこそ、元アイドルのあけすけな自作自演の暴露本が皆かっこいいってことになっちゃう、とでもいうか。
上手く言えてませんね。
結局、人としてのバランス感覚、に集約されるのかもしれません。

ところで、対談相手にエドツワキ氏もいます。
今回知りましたが、あの『パンダのanan』は彼の装丁だったのですね。
エドツワキといえば、私の中では原田知世さんの夫として有名です。
原田知世結婚の報で、相手がエドツワキという名のイラストレーターだと聞いときは、「誰?なに?そのふざけた名前。ナニジン?」と思ったものです。

エドツワキ、小泉今日子さんとも昵懇だったんですね。
そして対談は彼のこんなコメントで締められています。
<僕にとってキョンちゃんは、木の枝の高いところになっている、熟した果実のような存在なんだ。絶対に腐らない、熟したままずっとそこになっている果実。がんばって登ればツンツンって触ることもできるんだけど、でも決してもいではいけないの。もがないままで、気がつけば二十年。落ちない果実を下からずっと眺めている感じかな。>

これを妻が読んだら、どんな感想を持つのでしょうか・・・って、下世話ですね、私。
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by kuni19530806 | 2010-10-02 22:55 | 読書 | Trackback | Comments(0)