2010年 02月 20日 ( 1 )   

穂村弘講演会   

歌人のあの(!)穂村弘さんの講演会を聴きに行く。
正確には「聴きに行った」のではなく、「手伝いに行って、端っこで聴いた」という感じですね。

勤務先の本部(?)主催の講演会だったのですが、電話予約はものすごい人気で、受付開始時間から電話が鳴りやまず、全ての回線が塞がって、1時間と経たないうちに満員御礼になったそうです。
私はそういう催しがあることさえ知らず、翌々日ぐらいにお友達に教えていただいたわけですが、当然、完売(無料ですけど)。
で、なにげに、というか、かなり作為的に、職場の上司に「ああ、ほむほむの講演会に行きたかったなあ」とため息をついてみせたところ、上司が主催責任者に連絡をとってくれて、「応援部隊という名目でなら聴いてよし!なので、開演1時間前に来て準備を手伝う、という条件」という形で許諾を得たのです。
やったあ。

こんなこと、日記に書いていいのか、私。

でもねえ、これは確かに職権濫用でしょうけど、私は自分で言うのもナンだけど、ホントにマジメに働いてきたと思うんですよね。
頭が良くない・・というより、今の仕事に必要な正確さや緻密さ、記憶力や猜疑力や魅力がほとんどないことを自覚してる+更年期でますますいろんな劣化が著しいので、重要案件の決定には極力参加せず、誰がやったかわからない仕事の間違いが発覚したらとりあえずなんであれ「それ私かも。ゴメン」と謝り、頭脳労働は露骨に回避し、そのかわり単純作業は厭わず、遅刻やズルやスタンドプレーは過剰に嫌い、大人の注意のしかたがわからないので20ぐらい年下の女子と同じ土俵で「自分から挨拶をしないって主義?」とか「いつまでもそういうくだらないことを考えて人生をムダにしろ!」とか、「毎日早く寝ろ」とか「今度、言ったらはり倒す」とか、レベルの低すぎる文句を言い、この4年半、地味にこつこつ、誉められもせずに働いてきたわけですよ。
そりゃあ、波風も立ちました。
表立っての波風じゃなくても、陰で私を嫌っている同僚はけっこういたし、今もいると思います。
っていうか、自分が嫌いな物件には自分も嫌われて当然ですから、そりゃあ、いるわ。

なので・・何を書いていたか途中で見失いましたが、そうそう、一回ぐらい、オイシイ目にあってもいいじゃん、と開き直った、という話です。

開演1時間前に来い、とのことだったので、きっかりその時間に行ったら(実はチャリで裏道を通ったら迷ったのであせって到着)、主催責任者があからさまに時計を見て「時間に正確。ちょうどです」と言いました。
なんか、怖え~よ。
で、そのまま進行責任者のところに連れて行かれ、「はい、受付ね」と名簿を渡されました。
受付?
そりゃあ、手伝えとは言われてたけど、まさか本部の人間を差し置いて受付とはね。
てっきり、イス並べ関係の手伝いかと思ってエプロン持参で行ったのに。

穂村さんは到着予定時間より早めにいらっしゃいました。
めちゃくちゃ痩せていて若くて、妙に足が長くて、およそ自分と同世代には見えず。
どう見ても30代なかばって感じ。
もっと社交性に乏しい方かと思ったら、ふつう。
会場を見て、後ろに並べた自分の著作達をチェックし、「あの・・お水を」とおっしゃるので、講演でよく壇上に置いてある蓋付きの青いガラスの水飲み(←正式名称を知りません)をご所望かと思ったら、「今、薬を飲みたいんで」とのこと。
もちろん、下を向いて笑ったのは私だけです。
バレないように笑いましたとも。

で、人も集ってきて開場。
やはり圧倒的に女性が多かったです。
もっと若い女性中心かと思いましたが、電話受付開始日の関係か、そこはやはり短歌のせいか、年配の女性が主流。
男性は2割ぐらいでした。

地の利の便が今ひとつの公共施設の多いわが居住区にはありがちですが、今回もけっこう遅刻して来る人が多く、受付係は講演会開始15分後ぐらいまでは外で待機。
穂村さんは意外と声の通る人だったので(マイクの音量のせいかも)、外からでも話は聴けました。
その後、中へ。

イチバン後ろの、いかにも「係が座ってます」的席に座ったのですが、そこだと声しか聞こえません。
やはり、せっかく本人がいるのですから、どんな顔で話をしているのか見たい。
なので、イスを勝手に徐々にスライドさせて、顔が見える位置に移動しちゃいました。
最後列のそのまた後ろの壁を背負った席だったので、それでもあまりちゃんとは見えませんでしたが、輪郭としぐさは確認できました。

肝心の内容ですが、感動しました。
情動にヒットした、内容が素晴らしかった、という意味ではなく(あ、内容ももちろん、すごく面白かったんですが)、選ぶ言葉がいちいち的確でわかりやすいことに。
ひとつひとつの言葉の持つ力加減を瞬時に判断するセンスっていうんですか、それに感動しました。

これを説明するためにはこの言葉をチョイスして、この<てにをは>を使って、このぐらいの人に伝える、みたいな言語神経というか俯瞰力が秀でている人ですね。
もっと、なんていうか内省的なイメージのまま、「わかる人にだけわかればいい」という感じで言葉を発する人かと思っていたので、言葉での守備範囲の広さにビックリ。
2時間があっという間でした。

終了後はサイン会に早変わり。
係の他の女性達もサイン会に行ってしまいました。
ひとりひとりに丁寧に応対してくれたそうで、名前を聞き、それに見合った短歌を書いてくれたそうです。
みんな、感動してました。
私?
イス片付けでそんなヒマはありませんでした。
そもそも、あんまりそういうことに興味がないんだよね。
そんな風にもらったサインをずっと大事にしてる自分も想像できないし、誰かに見せて自慢するのも淋しいし。
だとしたら、いただかない方が失礼じゃないし自然、と思ってしまう。
もう、実際に面白い話が聴けただけで充分でした。
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by kuni19530806 | 2010-02-20 23:20 | お出かけ