恋するソマリア   

高野秀行著『恋するソマリア』を読む。

面白かった!
前作『謎の独立国家ソマリランド』で基本的知識を得ている分、今回はすんなりその世界が理解でき(たような気分になれ)、なんとなれば、旧知の人たちに再会した心持ちにもなれ、グングン読めた。
今回は本の雑誌社刊行じゃないんだ、という一抹の残念さ、みたいなものはあったにせよ。

しかし高野さんは文章が上手いなあ。
内容にインパクトがあるので文章は見過ごされそうだけど(そうでもないか)、すっごい文才だと思う。
そして、喩え上手。

腰痛を秘境に喩えて、そこを探検するというテイにした『腰痛探検家』にも唸ったけれど、今回の「ソマリアに恋した自分」という設定も秀逸だ。
的確な喩えをすることで、こんなに状況がわかりやすくなるかとびっくりした。

更に、今なにかと問題や話題になっているイスラム教について、なぜ、民主化するとイスラム厳格派が選挙に勝つのか、それは日本でもおなじみの「宗教は選挙に強い」「宗教にはお金がからむ」あたりまではなんとなく予想できたけれど、そこにはもっと複雑な心理が交錯して、それは世俗的な、宗教による規制を嫌うインテリ層は理想に走りがちで仲違いしやすいとか、イスラム厳格派に反対する層がデモを行い、政府に弾圧されることで、ますます国を不穏にしたり、エジプトのように、非民主的な軍と非イスラム派が結託して、正攻法、民主的な手続きで政権を握ったイスラム厳格派政権を弾圧するという、ねじれた事態にもなっている、などなど、日本の報道だけではなかなか想像できなかった「現実」もこの本で少しわかった。

それはなんとなく、今の日本にも当てはまる流れでもあるような気がするのがとても引っかかる。
「規制を嫌うインテリ層は理想に走りがち」あたりとか。

理想に向かって走らなくてどこに向かって走る!?と言われると、とっさに返す言葉が見当たらないんだけど。

話は変わるけれど、今回のル●ネのCM騒動は気持ち悪い。
あのCMを作った人は相当バカだと思うけれど、ここぞとばかりに声高に理攻めの正論で批判してる人々も苦手だ。
自戒の念も込めて思うのだけれど、今自分は誰恥じることなく正しいことを言っているという感覚は、正しいこと以外を丸ごと排斥する気がする。

それって、本当に世の中をよくするのかな。

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by kuni19530806 | 2015-03-21 11:20 | 読書

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