世界でいちばん美しい   

藤谷治『世界でいちばん美しい』を読む。

『船に乗れ!』の藤谷さんが、また自伝的要素の強い、もうひとつの『船に乗れ!』的小説を書いた、と漏れ聞き及び、前のめりで読みました。

舞台は、藤谷さんの幼少時代から(もちろんあくまでも小説です)『船に乗れ!』で取り上げた部分をごっそり抜いた、小中学生、そしてちょっと大学生、その後の社会人の一時期、です。 

「僕」は、前半こそはそれなりに主人公のテイですが、一人称が「私」になってからは狂言回しのポジションに徹し、稀有な音楽の才能を持った小学校からの友達「せった君」と、彼の人生に多大な影響を及ぼす「津々見勘太郎」が物語の中心になります。

せった君が素晴らしい。
しゃらくさい言い方ですが、その人物造形の深さ、多面さ、そして愛情は、今年の最優秀人物造形賞有力候補です、そんな賞があったとしたら。
他の登場人物達も、私を含め、とおりいっぺんではなく、リアルで魅力的だったりします。
ただ、津々見勘太郎は、私は不満でした。
イヤなヤツだとか、ベタな思考回路の持ち主だとか、そういう不満ではなく、作者にとって都合のいい人物としか映らなかったから。

これ以上書くといろいろネタバレしてしまいそうなのでやめておきますが、『船に乗れ!』同様、音楽で生きることの難しさ、怖さ、そしてタイトルどおり「美しさ」がこれでもかこれでもかと表現されている小説です。

ただ、もっと構成はシンプルな方が好みだなあ。
そして、こういう小説を書く人って、めんどくさそうだ(^_^;)

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by kuni19530806 | 2014-01-02 23:58 | 読書 | Trackback | Comments(0)

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