ミーナの行進   

小川洋子『ミーナの行進』を読む。

読書善説(←造語です)を唱えたくなるような小説です。

舞台は1972年の芦屋。
訳あってお金持ちの親戚の家に預けられた12歳の朋子の1年の物語。
お祖母さまはドイツ人で、叔母夫婦には大人の事情があり、従妹のミーナは聡明な美少女ながら身体が弱くてプチ子というカバに乗って学校に通っているという、時代背景も含め、いろんな展開が期待できる設定ですが、予想されるような悲喜劇は何ひとつ起こらず、かといって物足りなかったり、逆に奇をてらい過ぎる感は微塵もない、上品で絶妙で、でもやっぱり風変わりな世界が堪能できます。

小川洋子ってやっぱりすごいや。
自分の読書欲みたいなものが気持ちよく満たされて、こういう小説を読み続けていられるなら人生も悪くない、と、われながらちょっとおおげさな読後感を抱きました。

挿入される、マッチ箱にインスパイアされてミーナの作ったおはなしや、男子バレーボールを中心としたミュンヘンオリンピックの描写や、色鮮やかな挿画に、上質の付録というかおまけみたいな、わくわくするようなお得感があります。

唯一の欠点は悪口を思いつかないことかも。
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by kuni19530806 | 2012-06-26 23:29 | 読書

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