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あめりかむら   

肉体的にはけっこうヒマなのに気持ちはドタバタしていた。
ドタバタというより、ジタバタかも。
なんだか、子どもの頃の夏休みの終盤みたいだ。
宿題はあらかた終わったけれど、実はいちばん気が重いモノが残っていて、ぐうたらしながらも落ち着かないあの感じ。
夏休みと違うのは、その終わりの日がはっきりわからないこと。

まわりくどい言い方をしてしまったが、夏休み=父親の小康状態、を指す。

いろいろあったが、父親は知り合いの女性の「私がめんどうを見る要員に加わりましょう」という申し出を受ける気持ちになってきたようだ。
私としてはこんなにありがたい申し出はなく、それを拒否した父親には当初ものすごくうんざりしたわけだが、押しが強くにぎやかな女性との会話を自分が繰り返すうちに徐々に「父親の気持ちもわからないわけでもないな」という気持ちになってきて、しかも余命いくばくもない人間に自分の都合で無理強いする加減もよくわからず、父親と申し出者双方からの電話攻勢でいろいろめんどくさくなり、うっとうしいようなじれったいような情けないような気の毒なような割り切れないような割り切ることに決めたような、数日を過ごしていた。
落ち着かない最たる理由はそこでした。
が、女性から「呼び出しがあったんですよ」と、ちょっと華やぎすら感じられる連絡があって、ホッとした。
まだ一歩めだが、とりあえずホッとしたのだよ。
双方の気持ちはわからなけれど。
特に、女性の気持ちは正直、全然私にはわからない。



石田千『あめりかむら』を読む。
自分より年下で、こういう世界をこういう風に紡ぐ女性には羨望にも似た感情を抱くが、同時に「作者が自分に都合よく作り出した世界で登場人物も駒に過ぎない感じがすごくしてしまう」というおよそ好感とは言えない気持ちも湧いて、二律背反な(?)読後感。
やってることに間違いはないし、印象も悪くないし、一目置きたいし、どちらかというと好きなタイプなのに、なぜか好きになれない人、みたいな小説。
それは私の石田千さんに対する気持ちってことなのかなあ。
あめりかむら_a0099446_1222443.jpg

by kuni19530806 | 2012-04-12 21:49 | 読書

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