漁港の肉子ちゃん   

西加奈子著『漁港の肉子ちゃん』を読む。

最近、よく目にするこの著者ですが、読むのは初めてです。
今回の小説もいろんなところで好評のようで、私もたまたま読んだなにかの誰かの書評で決定的に「読んでみようか」という気持ちになったのですが、それがなにの誰のものだったか、全く思い出せません。
まあ、いいんだけど。

悪口を言いづらい小説です。
実際、すごく面白かったし、気持ちが入り込んで涙さえ流しそうになりました。
じゃあ誉めとけよって話ですが、手放しに誉めたい感じではありません。
フクザツな乙女心です。

賢くて大人びてて、でも実は傷つきやすいローティーンを主人公にした大人向けの小説がちょっと苦手だったりします。
そういう設定のモノはだいたいよく出来ていて、ぐいぐい読ませますし読後感も悪くないものが多いですが、私には、内容と書き手の気持ちの距離が近すぎるというか、落としどころが決まっていてそこに向けて都合よく書かれているように思えるというか、とにかく、書き手側の思惑しか読み手に許されないみたいで窮屈なのです。
いい話でしょ、現実が描けてるでしょ、子どもの方がわかってるでしょ、という圧力っていうか。

でも、この小説はそのへんのぼかし(?)は巧い。
たいしたもんだと思います。
正直、主人公には「この子、前にどっかの小説にも出てこなかった?」的既視感を覚えましたが、舞台が港町であること、三つ子の老人やしゃべる動物が出てくること、ステレオタイプではない登場人物二宮がすごく良いこと、などで、書き手からのプレッシャーが緩和されてました。

なんだかんだと書きましたが、肉子ちゃんが踏み絵です。
彼女にグッとくる人には傑作、そうでもない人には非傑作なのではないかなあ。
私は保留(笑)。

西さんの他の小説も読んでみるか。
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by kuni19530806 | 2011-11-26 23:59 | 読書

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