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ふだんの表現者   

空は高くて、夕暮れはぐんぐん早くなって、セミに替わってスズムシが鳴き出して、十五夜と十六夜の月は度を超した美しさで不穏な気分になるくらいなのに、すんなり秋になりませんねー。
しつこいぞ、夏。
季節も人も、去り際の見事さがその存在を輝かせるのに。
往生際が悪いったらありゃしない!
「2011年の夏はちょっとしたストーカーみたいにねちねちとしつこかった」という総括が私の中では今のところ最有力。
こんな自分の総括を発表する機会はまずないけどさ。

仮性ギックリは思いのほか早く治ったのですが、昨日今日と妙に眠ダルい。
夏の疲れか。
職場には、1日のエネルギー配分が不得手なのか、朝はいつも元気いっぱいで、午前中も昼過ぎもいちばん元気なのに、夕方になると電池切れのように静かになってしまう、ある意味、愛すべき(笑)同僚の方がいますが、その方はスパンが1日だから分かりやすいだけで、これが1年だったりすれば、電池切れで「なんだかあの人、最近ちょっと元気なくね?」になっちゃいがちなのが夏の終わりなのかも。
よく、肌は秋の始めに一気にトシをとる、と言いますもんね。
えっ!?言うよね。

つい先日、職場の広報紙を創刊したのですが、特集は3月のはじめに開催したフードスタイリスト飯島奈美さんトークイベントの再現です。
再現、とはいっても、そこは紙媒体。
当然ですが別物です。
ちなみに、事前にご本人の許可をいただいていたのに、私のミスで当日はイベントの模様を録音し忘れちゃったんだよねー。
イベント直後に、私と一緒に進行役をしたHさんがものすごい勢いで覚え書きを書いてくれました。
感謝!
それを見ながらの紙面作り、となりました。

迷った末に、飯島さんが事前に用意して下さった何十枚という写真の解説の場面はほぼ根こそぎ端折りました。
1枚1枚について本当に丁寧に解説をして下さって、イベントではメインともいえ、参加者にもかなり好評だったのですが、それを入れたら紙面が膨大な量になるし、なにより、そこをがっつり広報紙に使ったらなんだか「違う」気がして。
上手く言えないんですけどね。

きっと自分は、イベントから半年も経って、明らかに時機を逸しているのにあえてその特集で広報紙を創刊する意味、というか理由、というかモチベーション、を自分の目論む方向で設定したかったのです。
日常という。
3月6日という、「まだ平和」なときに開催したイベントを今特集するからには、「ふだん」とか「日常」を際立たせたいと思った。

ふだんや日常は、うっかりすると軽視してしまいがちだけれど、本当はものすごく貴重なのだということをその直後にガツンと思い知らされてしまったので、それが伝わりやすい紙面というのを最優先にした、んですね。

作っているときはそんなに作為的ではなかったけれど、今思うとそんな感じ。

なんでこんなことを急に説明(言い訳)しているかというと、今日、ひょんなことから別所哲也が飯島さんをインタビューしたラジオ番組のポッドキャストを見つけ、聴いたからです。
月~木の帯で4回に分けて放送されている(もちろんまとめ録りですが)番組でけっこうボリュームがありました。
それを聴いていたら、自分が飯島奈美さんを招聘したいと思ったことも、イベントのタイトルを「ふだんのごはんは、すごい威力だ。」にしたことも、イベントから半年も経っていまさらながら広報紙で取り上げたいと思ったことも、全て腑に落ちる気がしたのです。
それは「飯島奈美さんは『ふだん』の表現者」だから。

自分的にはすごく納得してスッキリした。
このスッキリ感、人には伝わりづらいだろうけれど、このブログは備忘録なので書いておくのだ。

ご静聴ありがとうございました。

by kuni19530806 | 2011-09-14 22:46 | 仕事

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