ふがいない僕は空を見た   

窪美澄『ふがいない僕は空を見た』を読む。

1年以上前から周囲では話題になっていましたが、あまり食指が動きませんでした。
読もうと思ったのは本屋大賞がらみではなく、高野秀行さんのツイッターでの(たぶん)コメントでした。
なんて書いてあったかは忘れたし、高野さんが読んだきっかけは本屋大賞だった気がするので、間接的には私も本屋大賞経由の読者ってことかもしれない、と今思ったりして。
だからどうした、ですが。

つまらない、と言いづらい小説ですね。
あ、つまらなかったわけじゃないです。
かなりグッとこう前のめりで読みましたよ。
私の好きな連作短編モノです。
みんな思うことだろうけれど、しょっぱなの濃厚な性描写は読み手選別手段みたい。

1作めの「ミクマリ」をクリアした、人間の暗部に目を背けず先に進んでくれた読者だけに、エロはちょっと棚上げにした、ふがいないけれど愛おしい、躓きながらも懸命に生きている人間達のドラマをお見せします、的な。
後半、直接的エロ(!)どんどん遠ざかり、生々しいけれど清々しい世界になっていく、その構成の妙は手練手管に長けた遣り手婆のようです。
・・ずっと誉めてるつもりなんだが、どうもそうなってないような。

私は、人間の暗部や恥部やどうしようもなさを安易に性描写に変換する小説はあまり好きではありませんが(実際にエロが好きか否かとは別です、と言っておこう。あ、わざわざ但し書きすることはないか)その「安易か安易じゃないかの境界線」をどうこっちに提示するかこそが、性を描く作者の力量だとも思っています。
そういう意味で、「ミクマリ」から「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」のラインは完璧です。
完璧過ぎて気に入らないくらい。

急に眠くなったので雑感箇条書き

もちろん、この本でいちばん気に入った登場人物はセイタカアワダジソウ福田君です。

豪雨で家が・・という話になると、パブロフの犬のように「岸辺のアルバム」と言いたくなる。竹脇無我さん、合掌。

助産院については思うところがあり過ぎて、まるで自分に向けて発信されたのかと思った。昨日の漢方薬局といい、昭和の終わり~平成初年を思い起こさせられることが多いなあ。

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by kuni19530806 | 2011-08-23 23:29 | 読書 | Trackback | Comments(0)

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