人気ブログランキング | 話題のタグを見る

四十九日のレシピ   

伊吹有喜『四十九日のレシピ』を読む。

四十九日のレシピ_a0099446_22265192.jpg


今、「泣ける本」ということで話題になっているそうですね、これ。
私がなぜ読んだかというと、読売新聞の3月の書評を読んだから、です。

<40歳を過ぎた私の人生の中で、やり残したことがあるとしたら自分の子供を持つことだ。時間に限りがあることだから、ある年齢を過ぎた女性なら一度は真剣に考えたことがあると思う。家族の再生を描いた心優しいこの物語を読んで、私はそんな思いから少しだけ解放された。>
という出だしから始まるこの本の評は、小泉今日子、キョンキョンによるもの。
ちなみに、この書評はけっこう長めですが、結びは以下。
<子供がいようがいまいが、大切な人に惜しみない愛情を注げる人になりたいと思った。形のあるものじゃなく、誰かの心の中に、ほんのりと温かい小さな光のような思い出をいくつか残すことが出来たら、自分の生きた人生にようやく意味を感じられるような気がした。>
『四十九日のレシピ』に興味を持ったのは、この書評の内容そのものというより、日本一有名だったともいえる今は40代の元アイドルにこんな奥ゆかしくてまっとうな感想を書かせる本って?・・・というところだったような気がします。

そんなわけでしたが、私はこの本はあまり好みじゃなかったなあ。
「家族の再生を描いた心優しい物語」なんだろうか、これって。
申し訳ないけれど、底の薄いご都合主義な小説だと思いました。
ファンタジー、ってことで丸ごとOKでもいいっちゃあいいのかもしれませんし、途中までのあまりの悲惨さ(?)も、いい話としてのフィニッシュを決めるためには必然・・だったのかもとも思いますが、そういう、結末から逆算して書かれた、みたいな小説はちょっと苦手っす。

それにしても、夫の浮気が原因で実家に戻ったアラフォーのヒロインに対する伯母のコメントはあまりに辛辣。
世間一般のものの見方考え方を代弁してくれている、らしいです。
<ね、百合ちゃん、よく聞きな。あんたはね、子どもがいないから人の情ってのがよくわかんないんだよ。子どもはね、親を成長させるよ。あんたは若いままで成長が止まっているんだ。だから亭主の愛人問題ぐらいでガタガタ言うんだよ。>
あららら。
極論だこと。

by kuni19530806 | 2010-06-15 22:25 | 読書

<< 誕生日とマダムの会 HERS >>