春の珍事   

昼下がり、駅前を買い物袋(正確にはエコバッグ)を下げて歩いていたわけですよ。
そしたら、オバサンとオバアサンの中間ぐらいの印象の女性に「あら、タカハシさんとこのナントカちゃんだよね。久しぶり!おかあさん、元気?」と言われました。
「ん?タカハシさん?」

すぐに「違います」と言えばよかったんでしょうが、実は私、はるか昔ですが、人生で3年間だけ「タカハシさんちのナントカちゃん」だった時期があるのです。
なので、否定することを躊躇してしまいました。

これは秘めた戸籍詐称・・。
ではなくて、今を遡ること30年以上前、中三の終わりに両親が離婚して、私は母親の実家である会津で高校時代を過ごしたわけですが、その母親の実家がタカハシさんでした。
母親は旧姓に戻らなかったので、私が戸籍上「タカハシ」になったことはなかったものの、環境はバリバリ「タカハシ」でした。

この日記でもたびたびご紹介していますように、母親の実家は雑貨屋(もともとは酒屋)兼下宿屋で、母親の母親、私にとっての祖母はそりゃあもう厳しかった。
なので、商売柄、人の出入りは多いし、出戻り娘のその娘もわりとこき使われた。
届け物やクリーニング屋や郵便局にしょっちゅう行かされたので、そういうところでは「タカハシ」になりきっていたわけです。
「タカハシさ~ん」「はい」
「西四ツ谷のタカハシですが、できてます?」
みたいな。
なので、今日、声をかけられたとき、一瞬、当時の、会津の私を知る人なのかと思っちゃったわけです。

冷静に考えれば、そんな可能性はゼロに等しい。
だいたい、もし、本当に当時の私を知る人が私を識別して声をかけたとしたら(それもないだろうけど)もっと驚くだろって話です。
でも、人間のとっさの解釈はトンチンカンだったりするわけです。
で、私が「えっ!?え~と・・」とあいまいなリアクションをとっているうちに、その中間女性(こう書くと性同一性障害みたいだ)は、なんの迷いも感じられない口調で「この前の話なんだけどね~」みたいな下町オバチャンにはありがちなしょっぱなから省略バージョンの話を、しかもベタに私の腕を掴みながら淀みなく始めたわけです。
「いえいえ。違います。私はタカハシじゃありません」ってちゃんと言った・・うん、確かに言ったよ、私。
でも、なんかうまく伝わってない。
もー、なりすましちゃう?

自慢じゃないけど、私、どこにでもいる顔だし、しかもこの時期はマスク装着で歩いているわけで、そりゃあ、タカハシでもタナカにでも間違われるだろうよ、と、テキトーに返事していたら、その中間女性、私に向かって満面の笑みでこうおっしゃいました。
「だから~○○ちゃんも結婚する前に一度、ウチに遊びにおいでよ。じゃあね」
そして立ち去りました。

私、呆然。
ふたつの理由で。

①どうも自分は結婚間近の女性と間違われたらしい。
でもまあ、結婚はいくつになってもできるわけですから、これはまだいい。
問題は次です。
②最後に聞き取れた「○○ちゃん」がちゃんと私の名前と一致していた。

な、なんで!?
偶然にしても、凄くないですか?

もはや、ネタの域を超えてるような。
半日近く経った今は、あのデキゴトが現実だったのか、そもそもあの中間女性は私以外の人間に見えていたのか、自信がありません。

あそこは本当に、我が家から徒歩5分足らずの駅前だったんだろうか。
私はもしかして、気づかないうちに四半世紀以上前の、実際に結婚間近だった頃の実家近くにタイムスリップしたのではないでしょうか。
そう疑うと、全てに霞みがかかっているような気がします。
あの中間女性の生え際の白髪さえもぼんやりしてくる。

これはノンフィクションです。
脚色なしです。
誰か解読して下さい。
[PR]

by kuni19530806 | 2010-03-02 23:58 | その他 | Trackback | Comments(2)

トラックバックURL : http://giana.exblog.jp/tb/10098572
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by かつかず at 2010-03-03 22:55 x
ひぇ~!凄い体験かも。私も新宿で病院の婦長さんと間違えられてお礼を言われた事があるけど、名前は言われなかった。何か大切なものを福島のタカハシに置き忘れて来たんじゃない?色々想像を膨らませたら本になるよ。マツモトさんなら書ける。
Commented by マツモト at 2010-03-04 17:39 x
今あらためて読むと、一段とウソくさい話ですよね(笑)。

とりあえず、昨日の中間女性の口のわきに北路があったのは覚えてます。
でも、メガネをかけてたかどうかとか、服の色とか、全く記憶にありません。
人の記憶なんてそんなもんなのかもしれませんが。

<< 家人の捻挫と自分の腰痛 ついに弥生 >>